鉄道大臣のひとりごと

老人ホームで過ごしながら徒然に考えたこと

日本には、不思議なものが、いくつも有る。 例えば、「気」がその一つである。元々、「気が知れない」といった風に「知れないこと」を承知で使う言葉だから、不思議でなかろう筈がない。 

 

いま一つ不思議なものの一つは、「間」である。 うっかりしていると、「間」は、持てない。 姿形がないからだ。 その「間」の間の良い奴、悪い奴がいる。 もちろん、間の抜けた奴もいる。 「間」が拔け易いのは、おそらく「間」が、物事の「あいだ」にあるからだろう。 では、「あいだ」の良い奴、悪い奴とは、そこに「間」があるからだ。 では、どんな奴なら、ある「間」が良かったり、悪かったりするのだろう。

 

「あいだ」の良い奴、悪い奴とは、物事の「トリモチ」の良い奴、悪い奴に違いない。 で「とりもち」とは?

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とり‐もち【取(り)持(ち)】

1.両者の間に立って仲を取り持つこと。 仲立ちをすること。 また、その人。

2.人をもてなすこと。 接待。       

出典:デジタル大辞泉小学館

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十数年も、老人ホーム暮らしをしていると、いろんな奴(主として、ヘルパー、)に出くわす。 中には、間の悪いヤツ、良い奴もいる。 もちろん、間の持てない奴もいる。 私が経験した系列の老人ホームでは、毎朝、体温、血圧測定にヘルパーが、各部屋を回ってくる。 起き抜けの着替えの途中に、部屋を覗いて、ドアーを叩く間の悪い奴も、起きて、顔も洗って、歯も磨き、用意万端整った頃を見計らって部屋へ入ってくる間の良い奴もいる。

 

しかし、不思議なのは各部屋のドアーには、「覗き窓」は付いていない。 だが、ヘルパーたち(夜勤ヘルパー)は、入居者の安否を確かめるための、夜中各部屋を巡回することに成っている。 彼等が、部屋を覗くと、「カタン」とドアー開け閉めする音がするから、「来たな」と察知することはできる。 中には、眠れぬ夜をかこちつっ起きていて、ドアーが開くと、「ギョロッと」睨み返す不届きな入居者もいるから、双方で「睨めっこしましょ」の体となる。 そうした場合、ヘルパーの中には、「間」を持たせるために、「巡回です」と捨てゼリフを残して立ち去る気の良い奴もいる。

 

中には、出(来)直しを繰り返し、それでもなお具合の悪い時を見計らって(?)部屋へ入ってくるアホな奴もいる。 特に、アホなのは、男の入居者がパンツを履いている真っ最中に部屋を覗き、ドアーを開ける新米女性ヘルパーだ。 未だ、こちらはお化粧中だぜ。 そのヘルパーが若いと、目も当てられん(これは、相手のこと)。

 

人間関係とは、人と人の間の関係のことを言う。 男女の関係も、その一つだ。

若い男のヘルパーと老婆との関係も、例外ではない。 「間」が抜けていると、変なことになる。 老人といえども、風呂へ入る。 介護が必要な老婆が、厄介だ。 老人といえども老婆も女性である。 入浴中の三助役を女性ヘルパーが果たすとは限らない。 人手不足の今日今日、男性ヘルパーも少なくない。 間の抜けた若い男が、老婆の背中を流すのは、流される老婆にとっても、擽ったい(くすぐったい)。 男のヘルパーは、目のやりどころに困る。 老婆の方でも、あれこれ注文を付けるのに憚られる。 これじゃ、互いに「間が持ってっこない」。 

 

相手を人間だと思うから、こんな「男女問題」が起こる。 相手は、「枯れ木」と心に決めても、相手は、「きゃー」と叫ぶ。 相手は、どこが良いのか、気持ちよさそうに、「そこ、そこ」と、求める。 露骨な婆さんになると、お風呂の三助は、「ご指名」になる。 とんだ男女差別問題が、「間」が原因で起こってくる。 「あの若い男が良いわね、いいえ、こちらの方が増しよ!」。 話題が少ないと、何でも、話題になる。