鞍馬天狗

夢寐のたわごと

忌 憚(きたん)

心を許しあった友は、滅多に居ない。 特に、年をとるとそうなる。 本当の意味の心友が、どんどん、死んでゆくからだ。 お互いが、忌憚の無い心友になるためには、長年に渡る「付き合い」が必要だ。 「おい、お前」で付き合う為には、長年に渡るお互いの損得にあまり関わりのない「何事か」を手掛りにした接触経験の積み重ねが、必要というわけだ。

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き たん [0] 【忌憚】:( 名 ) スル はばかり遠慮すること。

一般に、下に否定の語を伴って用いる。 「 -のない意見聞きたい」 「 -なく言う」

きたんのない 忌憚のない」 
意味は「遠慮の無い」「余計な気遣いのない」で、「忌憚の無い意見」「忌憚なく言えば」といった具合に使う。

・・・・・・・・・三省堂大辞林

 

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何事かを手掛りと言っても、碁、将棋、トランプ、など、「賭け」に結びつきやすいものは、いけない。  「賭け」は、逆に友を失うことに繋がる。 賭けは、心(気)使いで一杯である。 お互いの心を読み合うのが賭けである。

 

多くの老人ホーム管理者が苦労することの一つは、入居者たちが親しく付き合える催し事(イベント)を考え出すことである。 老人ホームでは、入居者たちに、原則として、大型ハサミ、包丁、ナイフ、「火気(コンロ、トースター、などの危険物)」とお金は、持たせないから、「金を賭ける」遊びは行い難い。 

入居者にやらせるにしても、せいぜい、チップや点棒などの模造貨を使って行う遊び程度である。 模造貨ですら、入居者同士の喧嘩の種に成るので、老人ホームでは行わせ難い。 このような常に警戒する必要がある相手が多く住む老人ホームでは、「胸筋を開く」ことなど、到底考えられない。 

 

他の居住者の居室へ忍び込む気の触れた居住者も混ざっっているから、留守中の窃盗にも気を使わなければならない。 と言って、居室に鍵を掛けておくことなども、「介護付き」老人ホームでは、禁じられている。 へルパーたちの随時の監視(見守り=でばかめ=盗み見)が必要だからだ。

 

心友の求め難いのが。老人ホームである。 老人ホームには、その性質上、何らかの問題(特に心の問題)を抱えた老人たちが集められている。 従って、厳密な意味での健常(正常)な「心」を持ち合わせない人達が多く、「許し合う」心も、勢い、少なくなる。 

 

老人ホームの入居者募集広告などに、よく「親しく交友し合う人達」の写真が掲載されるが、あれは「稀有(けう)」な、文字通りの絵空事である。 ましてや、預ける側の主観的判断によるとは言え「親を預けたく成る」老人ホームなどはあり得ない。 老人ホームは、近代化された姥捨山なのである。 その姥捨山に、心友が仮には居るとしても、「死を友にする死友」である。

 

年を取れば、互いに胸筋を開きあえる「心友」が欲しいが、彼らは次々と死んで逝く、85歳は越えるなよ。 心友が居るのは、それまでだ。 南無阿弥陀仏