鞍馬天狗

夢寐のたわごと

老人ホームのソフト

金掻き集めに忙しい老人ホーム経営者でも、概して老人ホームのハードウエアの設置、改造には金を使う。 エアコン、トイレ、フロア、バリアーフリー化、etc.。 ところが、いくら金を使っても買えないものもある。 それは、ソフトだ。  その第一は、へルパーの親切、丁寧さの程度。 第二に、口の効き方、第三に気の配り方、第四に挨拶の仕方である。 施設職員は、「入居者はお客様」と考える気持ち、つまり「おもてなし」の意識を失ってはならない。

 

こればかりは、「育ち」が物を言う。 和風のおもてなしは、外国人には、期待できないし、ロボットにはなおさらのこと。 同じ日本人でも、田舎育ちと都会育ちとのあいだには、おもてなしの態度が違う。 乱暴育ちの都会の若者には期待できない柔らかさが、田舎育ちのヘルパーのおもてなしにはうかがえる。 老人にとっては、都会か、田舎か、は問題ではなく、優しいのが一番。 都会よりも、田舎が良い。

 

「いい嫁」が、老人には欲しいもの。 ところが、いい嫁どころか、投資目当ての急増(造)老人ホームでは、へルパーの教育訓練が間に合わない。 挙句の果てに、心ならずも、殺人へルパーまで雇ってしまう。 捨てられた(?)施設の老人には、「もてなしてくれる友」は居ない。 施設の老人は死なずとも、名前だけ残して仲間から抜ける。 抜けた老人はベッドに寝るか、部屋に閉こもるか、ひたすら「いい嫁」を待っ。

 

気持ちよく寝ているためには、ソフトが良い。 ハードは使いたくとも、使えない。 経営者がハードに金を掛けるのは、外向きのため。 寝ている入居者は、外を向いてはいない。 「あたたかい家庭」は、息子や娘に譲ってしまっている。 施設には、老人の席はあって無きが如く、貴重な老友も、次々と死んで逝く。 残る老人の道は、ハードな茨の山道を夢うつつに歩くこと。