鞍馬天狗

夢寐のたわごと

人手不足?

「人手不足」は、経営者側に由来する言葉だ、という主張がある。 ところが、実際に職場(老人ホーム)=現場に働く人達の声を聞いてみると、確かに、人手が不足しているので、過重労働になっているらしい。 しかし、今一歩考えを深めると、この職場(老人ホーム)へ就職を希望する日本人が少ないからかも知れない。 事実、外国人労働者らしい職員も何人か働いている。
では、なぜこの職場を希望する日本人が少ないのか? なぜ外国人労働者が、チラホラ見えるようになってきているのか? 私が、この職場(老人ホーム)毛列に属する各地の施設で転々と生活し始めてから20年近い。 私は、自身の病気と家庭の事情のためこの施設へ入居させられたのだが、この系列の施設へ入居する前は、ある大企業で訓練部長、人事部長を歴任していた。 現在は、独居可能であるが、女房に先立たれ、かつ便利なので、そのままホーム生活を続けている。

その現在は身軽になった90歳近い元訓練部長、人事部長であった老爺の目線で老人ホームや職場一般の人手不足問題を考えてみると、一般の職場で働くことを希望する日本人(男女共に)が少なく、「職場を選ぶ」日本人が多いからだ。 

最近、テレビなどで報道されるように、多くの職場で外国人職員をチラホラ見るようになって来ているが、その主たる理由は、① 職員の給与が安い(外国人労働者が安く働くので、日本人職員の賃金が上がらない)、② 人手が不足していると経営側は勝手に考えて、比較的労働賃金の安い外国人労働者を雇う、のではないかと疑っている。

時代は変わる? 高齢者の数が増えている? だから人手不足? この思考は短絡過ぎる気配がある。 不足しているのは、「人手」ではなくて、「知恵」かもしれない。 現に、私が住む施設には、「昔、介護の仕事をしていました」と称して仲間の相談に乗っている入居者がいる(この場合、相談の中身ではなくて、相談して=話し合いに乗って、やること自体が有効だ)。 一種の老々介護である。 独り立ちの老人も居る。 過剰介護も見かけられる。
日本に失業者が多いとは言わない。 だが、高い賃金を求めている人々が多いのではないのかとは思う。 日本は世界第三の経済大国だとは云うが、第二の経済大国の労働者の賃金と比べては多いものの、北欧州の幾つかの小国の労働者の賃金と比べると、日本人労働者の賃金は遥かに低い。 差詰め「賃金不足」が、日本の労働力不足を生み出していると言えそうだ。

なぜ、日本人労働者の賃金は低い? 私は、何処かで書いたことがある。 「物を作るのは、酪農、漁業を含めた農産業に従う人たちだ」、「そうして作られた物を、流通させるのは、商人たちだ」、では、官僚、政治家、事業家は、何を作る? 彼らは、何も作らず、何も流通させない、物には一切関わらない「遊民」だ。 しかし、一番、金を取るのは、彼らである。 彼らは、「人を動かす」。 人を制する者は、世を制するか?

賃金の「賃」は、誰が取る? 「金は天下の回り物」と云うが、何処を回る?
最近、某建築会社が、55億円を詐欺によって騙し取られたと聞く。 しかし、この会社が倒産するとも、したとも、の話は聞かない。 庶民なら、この金額より遥かに少ない金で首をっ括って(くくって)いる。 その金は、何処から出た?  55億円を騙し取られても、会社は潰れない。 保険金? その保険金は、何処から?  いずれにしろ、それだけの「余裕金」が会社にはある。
庶民には、「ビタ一銭も」無い。

話が違う? 庶民にとっては、話は一緒である。 天下を回る金の「回り処」だけが違う。