鞍馬天狗

夢寐のたわごと

当たり?

この種の施設に入居するには、若干の条件がある。施設側が設定する条件と入居する当人の身寄りの者が設定する条件だ。 施設側が設定する条件は、概して単純明白で、65歳以上の「訳のある」者であること、施設が「訳あり人」の面倒を見る(介護する)ための手数料、管理費、食費、などであるが、入居者当人の身よりの者が設定する条件は、複雑多様で、一概には説明できない。

インターネット通販などで、販売している物品に、一般の市販値段より予想以上に安い品物があるが、そうした物品には、大抵「傷もの」とか「わけあり」とかの但し書きが記載されている。 この種の施設に入居する人達は、一言に単純化して言えば、「わけあり」の人達が多いのである。 一番、良く見かける「訳(わけ)」は、身か、心か、時に両方の病気(病身)である。


この種の施設の入居者には、四六時中の介護(監視)を必要とする人が多いので、この種の施設の職員には、「夜勤」がある。 職員の数にも依るが、昨今は人手不足とやらで、一週間に一度は「夜勤」をする職員も少なくない。 夜中に勤務する職員数は、日中の職員数に比べると極端に少なく、少々、過重労働気味であっても、人が居ないから、仕様がないと言えば仕様がない。 

ところが、入居者も「訳ありとは言え、人間であるから、夜中でも動き回ることもある」。 また、夜中に「心臓発作をおこす」、「突然喚き出す」、」「転倒して、顔面や頭を机や椅子、便器にぶっ付ける」、など、緊急事態を引き起こすことも、稀ではない。

施設側としても、お金を貰って「わけあり」入居者を預かっているだけでなく、
人道的にも、こうした緊急事態を放りっ放しにしておく訳にはいかない。 職員の夜中巡回は常のことだが、緊急事態に遭遇すると、救急車を呼ぶことになる。 夜勤者は、通常、大きい施設でも、前述のように、日中の職員数に比べると極端に少なく、例えば、7~8人に、小さい施設なら、1~3人程度に、減らされている。 

緊急事態が起こると、登板(当番)の職員は、極めて忙しい状態に置かれる。 ある施設の職員の間では、このような忙しい事態に巡り合うことを「当たり」と呼んでいる。 幸い、いくら緊急事態に当たっても、霊柩車を呼ぶことはない。 最悪の場合でも救急車止まりである。 警察に依る検死が必要だからだと思う。 

私はそうした施設の一つに住んでいる。 「当たられた」職員は、気の毒だと思っている。 幸い、私は、「訳あり」じゃないので、職員に当たることはないが、安い(?)給与で、眠い眼をこすりながら、当たらている職員を見ると、同じ当たるなら、「機械(AI)」に当たれ」、と言いたくなる。

言葉も日本の昔流のしきたりも知らない外国人労働者を、介護の仕事に使え、と言っている議員さんや行政官僚たちも多いようだが、外国人が日本の昔気質の訳ありの人達に当たられたら、彼らはどうするだろう。  

彼らは、日本の病院制度、日本の昔気質の心を病む訳ありの人達、を扱うだけの「専門性」を備えているだろうか? 議員さんや行政官僚達ならどうする。 高い給与を貰っているあなた達なら、おそらく、国会での説明や回答のような御託(言い訳)を並べて責任の所在を誤魔化し、放り放しで逃げるに違いない。

外国人を介護職の教育を与えて、高い給与を与える? それなら、一層のこと、日本人労働者の給与を高くして、介護の仕事を「宝くじ」に当たった様な本当の意味の「当たり」にしてやって貰いたい。