鉄道大臣

夢寐のたわごと

「人」を恋うる歌

「人」は、一般に「知、情、意」の三要素から構成されているとされる。 これら3要素の 内、近世、特にデカルト以降、人の「知」の要素が強調され、啓蒙思想産業革命、自然科学の側面、別言すれば、デジタル面が強調されてきた。 つまり、「情、意」の要素への注目が、どちらかと言えば、なおざりにされてきた。言い換えれば、「頭デッカチ」の状態で、人間社会は発達してきた。 しかし、バランスのとれた人間活動は、「知、情、意」の三拍子揃ったった物である。 その「アンバランス」状態が、今日の社会的混乱を招いていると思う。 

人を恋うる歌
妻をめとらば才たけて
みめうるわしく情(なさけ)ある
友をえらばば書を読みて
六分(りくぶ)の侠気(きょうき) 四分の熱
恋のいのちをたずぬれば
名を惜しむかな男(お)の子ゆえ
友の情をたずぬれば
義のあるところ火をも踏む

この与謝野鉄幹の歌に表される「青年の気概」は、情、意」の要素に力点を置いたもので、これらの要素は今日の人々の心から消えている。 いわば、十全の(完全な)今日の人は、十全な「人」では無くなっている。 コンピュータ、自動車、航空機、等を含む近代器機は、人心から「情、意」などの無形の宝を奪い去り、「理(知)」の要素のみを振りかざす怪物を横行させている。 今日、望まれているのは、バランスのとれた「人」の回復である。 今日こそ、鉄幹に応えて、「人を恋うる」歌を歌おう。