鉄道大臣

夢寐のたわごと

巣立ち

若い雄鳥が、生まれ育った巣を飛び立って、当てもなく広い空を飛び回っているときに、自分についてくる若い雌鳥に出会うと本当にうれしい。 天にも昇る気持ちである。 これは飛び立っ若鳥の感情を言っている。 だが、現代の日本の空には、デジタルや新しい発明、発見の巣が張り巡らされ、閉塞的になっているので、このような喜びを若鳥はもちろん、人々一般にも与えない。 そこには自然が欠落しているからである。

空にさえずる鳥の声
峯より落つる滝の音
大波小波とうとうと
響き絶やせぬ海の音
聞けや人々面白き
この天然の音楽を
調べ自在に弾きたもう
神の御手(おんて)の尊しや

武島羽衣:作詞
田中穂積:作曲

 

街角の小さな祠の数も減ったが、人間が人間らしくあれるのは、そこに自然があり、神が存在するからである。 人工的環境では、ロボットしか住めない。 だが、自然科学の進歩・発達と共に、皮肉なことに、人間の環境・社会は、どんどん不自然なものになって行き、「レス化」して行く。 キャシュレス、ペーパーレス、そしてエアーレスと空気すらも希薄化して行く。 

合理化・デジタル化も行き詰めると、どこに「若鳥」が住める? 若鳥には番う(つがう)相手すらも見つけ出すことが、難しくなって来ている。 最後には、べィビーレス! その兆しが既に見え始めている。 呼吸困難になった高齢者、レス化の結果、新しく生まれる者が減り、ますます社会は少子化して行く。 選び、選ばれし壮者のみが、はびこる社会になってきている。

日本は四面海に囲まれた、山川草木の多い国である。 この国は、昔から、瑞穂たわわに稔る豊かで、優しく、柔らかな土地であった。 現代の荒らされた堅い文化は、当面、街々に木々を植えることから始めて、空気と水を清冽化して、宥(なだめ)めよう。 そして柔らかな水明の国を取り戻そう。 水と木、それが日本の伝統と文化を育んだ。 日本の伝統・文化には、元々「鉄」や「石」の堅さは無い。 有るのは、自然に生える「木」の柔らかさ、優しさである。